審美歯科で使うセラミックの種類と特徴、気を付けるポイント

2021年3月10日

執筆者:粕谷院長

セラミック治療は自費治療のため、治療費は保険診療に比べて高額となります。 以下の点を参考にしていただければ、スムーズに希望にあった治療が可能になります。

1.治療前のカウンセリングでは聞きたいことをすべて聞きましょう。たとえば、治療期間・費用・神経の治療の有無・噛み合わせ・セラミックの種類による特徴などです。

2.被せ物、詰め物のシェード(色)の選択・確認は、個人的な好みもありますので、かならずご自分で確認しましょう。

3.セラミック治療は被せ終わったら終了ではありません。どんなに精度の高い治療を行ったとしても、日頃の手入れを行わなければ、歯周病や2次う蝕(虫歯)を引き起こしてしまいます。ブラッシングの方法や日頃のお手入れを教えてもらいましょう。

以上を参考にして、納得してセラミック治療を受けていただきたいと思います。

銀歯とセラミックの違いとは?

患者さん

今、私は銀歯を入れていますが、銀歯とセラミックの違いは何でしょうか?

歯医者さん

一般的に「銀歯」と呼ばれているものは、「金銀パラジウム合金」のことです。

パラジウムは金銀パラジウム合金として歯科治療に使用される金属です。歯にクラウンとしてかぶせたり、インレーとして詰めたりする銀色の合金で、略して「金パラ」と呼ばれています。金パラは1961年に保険導入された合金です。成分は、金12%、パラジウム20%、銀50%、銅16%、その他2%となっています。

「セラミック」治療は大きく分けると、ジルコニアとメタルボンド、ハイブリットセラミックの3種類になります。

1つ目のジルコニアは、キュービックジルコニアとは結晶構造は異なりますが、ほぼ同じ成分でできている酸化ジルコニウムを安定させたものです。

2つ目のメタルボンドは、金属の土台に陶材を焼きつけたものです。

3つ目のハイブリットセラミックは、樹脂と陶材を混ぜた材料を金属の土台に接着させたものです。

細かくはさまざまな違いがありますが、パッと見て一番の違いはやはり色ですね

審美歯科で使うセラミックの種類ごとの体への影響は?

患者さん

銀歯とセラミックはいろんな違いがあるのですね。ところで、銀歯でもそうなんですが、歯の被せ物とか詰め物をするのって正直、体に影響がないのか心配です。セラミックは安心して使えるのでしょうか?セラミックの種類によって異なるのしょうか?

歯医者さん

そうですね、セラミックは種類によって異なります。銀歯やセラミック治療のメタルボンド、ハイブリットセラミックなどは、ご説明したとおり金属を使用しています。そのため、金属アレルギーのある方や気になる方にはおススメできません

その点でいえば、ジルコニアやジルコニアフレームを使用したセラミック治療は、安心して使用できます

セラミックがおススメできないケースも!?

患者さん

なるほど、分かりました。ちなみに、そもそもセラミックが使えないとか、おススメできない人とかケースはあるんですか?

歯医者さん

歯ぎしりや食いしばりの自覚がある方、受診した際に指摘されたことがある方。それと、歯がぐらついていたり、歯周病のある方。こういった方は歯科医によくご相談されてから審美治療を行ったほうが安心だと思われるケースですね。

審美歯科で使うセラミックの種類ごとの特徴は?

患者さん

分かりました、ありがとうございます。セラミックの詳しい話が聞きたいのですが、セラミックにもいくつか種類があるみたいで、正直、違いがよく分かりません。治療費が高額になるので、それぞれのメリットとかデメリットのような特徴が知りたいです。

歯医者さん

セラミック治療の被せ物の種類は、大まかにジルコニアクラウン・メタルボンド・ハイブリットセラミックの3つです。

ジルコニアクラウンは金属アレルギー、ガルバニー電流などの心配がなく、歯茎の黒い変色なども起こす心配がありません。ジルコニアは色調に問題のあった時期がありましたが、改善されて強度的にも審美的にも安心して使用できます。しかし、噛み合わせによっては破折の原因となりますので、歯科医によくご相談ください。

メタルボンドは色調や強度に関して問題はありません。しかし、金属を使用するため、金属アレルギーや歯茎の変色を引き起こすデメリットは否定できません

ハイブリットセラミックは自費治療の中では安価で、一定の強度もクリアされています。デメリットは金属アレルギーや歯茎の変色と経年的な色調の変化があります。ハイブリットセラミックには樹脂が含まれるため色の変化は避けられません。

セラミック治療の詰め物の種類は、ジルコニア・ポーセレン(陶器)・強化ガラス系・ハイブリットセラミックの3つです。

いずれも金属は使用していませんので金属アレルギーの心配はありません。

今までの経験からお話しすると、色調的にはハイブリットセラミック以外は経年的な問題はありませんが、強度はジルコニアインレーをおススメします。その他のセラミックインレーは噛み合わせの強い方など破折するケースがあるので、私の場合は、ほとんど使用することは現在なくなっています。

審美歯科治療における部位ごとにおススメのセラミックの種類は?

患者さん

セラミックといっても種類によっていろんな違いがあるのですね。そういえば、インターネットで検索したら、前歯だったら何がいい、奥歯だったら何がいい、みたいなことを書いてあるのを見かけましたが、部位ごとにおススメのセラミックの種類があるのですか?

歯医者さん

部位ごとにオススメというよりも、噛み合わせは上の歯、下の歯があっての噛み合わせですから、相手によっては相性の良い素材と悪い素材があります。相手が天然歯なのか、インプラント、入れ歯、金属なのかによっても変わりますので、やはりこれも審美治療前に歯科医によくご相談されるべき点になると思います。

一般的にいえば、前歯は金属を使用しないタイプの方が仕上がりが綺麗です。欠損している歯が多くて長いブリッジなどの場合は、金属を使用しているセラミックの方が適していたり、奥歯の詰め物で破折の可能性が低いのはジルコニアが適していますね。

審美歯科のセラミック治療期間はどのくらい?

患者さん

自分のお口の中の状態によって変わってくるのですね。実際にセラミック治療をするとしたら、治療内容によって変わるとは思いますが、やっぱりそれなりの期間と回数、通院しないとダメなんでしょうか?

歯医者さん

たしかにケースによって治療期間はさまざまです。治療の範囲や状態により、歯周病治療や根管治療が必要になるケースだと治療期間は長引きます。地盤の悪い土地に理想の家を建てるのであれば、地盤改良や杭打ちなどの基礎工事が重要になるのと同じです。

やはり必要な事前準備の治療は、時間がかかっても受けられることをおススメします。

色の違っている被せ物を取り替えるだけのような治療であれば、ご相談を含めて通常3回で治療は終了します。

審美歯科でセラミック治療を受ける場合の注意点は?

患者さん

ありがとうございます。セラミック治療のことがだいぶ分かってきました。最後に、セラミック治療を受けるにあたって、気を付けた方が良いことがあれば教えてください。

歯医者さん

ご自分の希望をしっかりと伝えることが重要です。審美治療は個人的な価値観がしっかりと伝わるかが鍵となります。ただし、理想とする歯並びや、歯の形態を実現できるかは噛み合わせや骨格によっても変わってきます。そのため、事前にしっかり歯科医に相談することをお勧めします。

「健康な歯の神経治療や審美目的で歯を削るべきではない」という意見も見受けられます。たしかに歯科医師の立場からこの点において考えることはあります。しかしながら、「歯並びや色が気になって思い切り笑えない、積極的になれない」など悩みを抱えておられる方々がいらしゃるのも事実として受け止めています。

審美歯科はこのような悩みを解消して、明るく一歩踏み出せる一助となることも含めての治療と考えています

「その歯の色、白すぎない?」その方にしてみれば白すぎるのでしょう。あなたにとって明るく、やる気になれるのであれば私は白すぎるとは思いません。それは個性です。必ずしも一般的な常識が正しいとは限らないので、自分の希望をしっかり伝えることで納得する治療につながると考えます。

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